僕は再び線香を替え、溶けて消滅しかけていた蝋燭も新しくした。
そして本を開き『河童』の続きを読んだ。
時計の振り子がいやに大きく聞こえた。
コツコツ、コツコツと、それは誰かの靴音のように響いた。
コツコツ、コツコツ。
『河童』を読み終えたころ、時計は午前2時を示していた。
ついにすることがなくなってしまった。
残りの時間、僕はただ時間が過ぎ去っていくことを祈り待つしかない。
もっと本を持ってくるべきだった。あるいは、スマホの充電器を。
コツコツ、コツコツ。
僕は新しい線香に火を灯してから、部屋の隅へ行き、膝を抱えて座り込んだ。
膝小僧の間に顔をうずめると、今まで感じたことのない孤独に襲われた。
恥ずかしい話だけれど、僕はそのとき少しだけ泣いたと思う。
しばらくして、僕はウトウトし始めた。そして実際に眠ってしまった……のかも、しれない。
コツコツ、コツコツ。
コツコツ、コツコツ。
コツコツ、コツコツ。
振り子の音が大きくなっているような気がして、僕はふと顔をあげた。
そして、気づいた。
それは振り子の音ではない。
僕は音のする方を見た。
コツコツ。
それは、祖母の眠る棺から響いていたのだ。
僕は寒気がして、叫んで逃げ出してしまいたくなった。
でも逃げ出したところで、外にあるのは街灯もない深い森だったし、
僕には長男としての責任もあった。
それで僕は湧き出てくる恐怖にぐっと蓋をして、耳を塞ぎ、
うずくまって何とかやり過ごそうとした。
それでも、音は聞こえてきた。
コツコツ、コツコツ。
一族の恥だと怒るくらい重要なら一人に任せず父ちゃんも番しろよって思っちゃった。
筆者です。貴重なコメントをありがとうございます。
自分で読み返してみると確かに、説明が不足していましたね。
補足として一文付け加えておきました。
コメントをいただき僕もこの風習を「うちだけなのかな?」と疑問に思い、
改めて実家に電話をして確認したら、
母は「うちはそういうしきたりなの、昔から」としか答えませんでした。
うーん、相変わらず。
ということで、僕もその独自のしきたり?について
納得できる理由は得られずじまいでした。申し訳ないです。
何か伝えたいことがあったのかな
筆者です。コメントありがとうございます。
この体験が、僕の身に現実に起きたことにせよ、或いはリアルな夢だったにせよ、
祖母は何かしらのメッセージを僕に伝えたかったんだと思います。
実際のところはもちろん分かりませんが、僕はそう信じています。
おばあさまも、「はぁ〜、あんなぁ…」で済ましてくれたわけや。もうすぐ消えるぞぉ〜、いい加減読書やめれぇ〜、ってコツコツしながら教えてくれたりしながら。河童じゃなくてエロ本やったら取り憑かれてる。
死後硬直とかじゃないかな?
たまに動くらしいよ!
あんなぁ!は口癖かな?
走馬灯のローソクは変えなかったのかな?
方言とかじゃなくて?
あんなぁ=さよなら とか。