森川徹は、ネオンが滲む深夜の歌舞伎町を歩いていた。
今は男としてホストクラブで働いている。
生まれたときの名前は「リサ」。
だが今、その名を口にする者はいない。
「最近、夢がやけにリアルなんだよな…」
ある朝、目が覚めると、見覚えのない女性物の下着が
ベッドの上に無造作に置かれていた。
化粧品、赤いルージュ、香水、そしてヒール。
どれも自分の物ではないはず。心のどこかがざわめいていた。
ある夜、夢の中で、自分は過去の“リサ”に戻っていた。
艶やかな髪、濃いアイライン、大人びた表情。
そして、その夢の終わりには必ず、血の匂いがあった。
徹はホストクラブ「Lune(リュヌ)」で
ナンバー3に入る売れっ子だった。
だが最近、同僚の春斗に言われた一言が引っかかっている。
「昨日さ、めっちゃ可愛い新規の客来ててさ、何の仕事してんだか
教えてくれなかったんだけど、めっちゃ金持ちでさ、チップまで
もらっちゃったよ~、このご時世にあんな太い客もいるんだなぁ
また来ねぇかなぁ~」
「どんな女?」
「ん?茶髪のロングで、黒のタートルネックのワンピース
だったかなぁ、こうタイトっつうか、ボディコンっぽい感じの?
真珠のネックレスつけてたわ、若干葬式の帰りかって感じにも
見えたけどな(笑)、俺らと同じくらいの歳なんじゃないかな~
わっけぇのに、すごいよなぁ~、金持ちの令嬢とかだったりして。」
春斗の言葉に、一瞬絶句した。
クローゼットの中に、春斗が言った、黒いワンピースが
あったからだ。
真珠のネックレスも、ドレッサーの前に置かれていた。
銀行口座の履歴には、自分の知らない場所での出金。

























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