奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

オコール・デ・シカシさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

鏡じゃない
短編 2025/10/12 19:55 981view
0

俺とたくみは幼なじみで親友だ。近所で育ったので幼稚園の頃からずっと一緒で、今も中学で同級生だ。たくみは最近中学を休みがちで、担任や他の同級生は不登校は俺のイジメのせいだと考えているらしい。もしたくみが自殺したら俺のせいだと。冗談じゃない。俺とたくみはあんなに仲がいいのに。たしかに、俺はたくみをからかったりはするよ。女子の見ている前で無理矢理裸にしたり、給食に虫の死骸を入れたり、プロレスの技をかけたり。でもそれは愛情の裏返しっていうか、ただのイタズラで、俺はたくみのことを好きだし、他のやつらにとやかく言われる筋合いは無い。現についさっきたくみからLineがあって、明日の夜に肝試しに誘われた。

どこも一緒だろうけど、うちの中学校にも七不思議みたいなのがあって、そのうちのひとつが「死に顔が映る鏡」だ。校舎の3階の廊下の一番奥の突き当たりに大きな鏡が掛かってて、夜中の2時ちょうどにその鏡を見ると自分の死に顔が映るという、ありがちな話。俺はそういうのまったく信じてないんだけど、たくみはそこに2人で肝試しに行きたいんだと。臆病なたくみにしては意外だけど、まあせっかくの親友の誘いだから乗ってみるか。

夜中の中学校は、しんと静まり返って思ったよりも不気味だった。真っ暗な校舎の階段を上がって3階の廊下をたくみと歩いた。足音だけがやけに響く。たくみはとくに怯えた様子もなく、懐中電灯を手にさっさと歩いていく。俺の方がかえって、教室に誰か座ってたらどうしよう、とか考えながらドキドキしていた。

行き止まりまで着くと、その鏡が掛かっていた。一応、2時きっかりまで待ってから恐る恐るのぞくと、何のことはない、自分とたくみの顔が映っていた。
「ただの鏡じゃねーか」
俺は笑ってたくみにヘッドロックを仕掛けようとすると、たくみは言った。

「これ、鏡じゃないかも。。。」
よく見ると、鏡の中の俺は笑ってないし、動きも合ってない。それに、鏡に映っている時計は2時5分過ぎを指している。
「まさか・・」
振り向くと包丁を手にしたたくみの姿が。

次の朝のニュースの見出しは、
「中学生が同級生を刺殺 夜の校舎に誘い出し イジメの仕返しか」

1/1
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。