早く出たとは言ってもアルバイトに遅刻するには十分な時間であった。
『あるかは分からないが…公衆電話を使うしかなさそうだな。』
男は再び錆びた看板を見た。どうやら次の駅は終点らしい。男はこう考えた。
『終点なら公衆電話があるかもしれないな…』
スマホをライト代わりにして、男は歩き始めた。看板からはどっちが終点かを読み取ることはできなかったが、電車が走っていった方向をしっかりと覚えていたのである。しばらく歩いていると男はトンネルを見つけた。
『随分と明るいトンネルだな。』
男はトンネルに入ろうとしたが足元に何か変なものが落ちていることに気づき、それを拾い上げた。
『なんだこれ…?木の板か…?』
男はそれをスマホで照らしてみた。その板には文字が書かれていた。その文字を読んだ男は何かを察したのだろう。すぐに引き返して次の電車を待った。そして、到着した電車に乗った男は無事に帰ることができたのである。
『黄泉、か…』
男は電車に揺られながらそう呟いた。
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