それは僕が理科の天体観測の宿題を終えるためにベランダに出た時のことでした。
「あれが冬の大三角かなぁ…」
そんな事を呟きながら空を見渡していると視界の隅にあるものがうつりました。自分と同じようにベランダに出て空を眺めている女の子が居たのです。とても髪が長くて横顔の綺麗な子でした。
自分と同じように空を眺めていてとても綺麗な子、それだけで当時の僕は恋に落ちました。初恋なんてみんなこんなものでしょう多分…もう少しベランダの外に居たかったのですが流石に寒くてその日は部屋に戻りました。
次の日もベランダに出るとその子は星を眺めていました。その次の日も。
「あの子は相当星が好きなんだなぁ…」
そう思った当時の僕は星について書いてある本をわざわざ借りて読んでいたのを覚えています。
しかし寒さが厳しくなってくると流石の僕も外に出るのが苦痛になってきました。
寒さが引いた頃、再び僕は例の子を見るためにベランダに出ました。少し見ないうちに彼女の背が伸びていて驚いたのと、珍しく彼女が俯いているように見えました。その日を最後に彼女は二度とベランダに現れませんでした。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 4票























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。