私が幼少期の頃、よく祖父母の寝室に布団を敷き、寝ていた。
祖父は畳の上に布団を敷き、横向きになりテレビを観ながら寝ていた。
祖母はベッドに寝ていて、寝るとすぐに大きないびきをしていて、鼻いびきの「ズーズー」や、喉のいびきの「ガーガー」と、とにかくうるさかった。
あまり酷い時は「ばあちゃん!」と呼び、いびきを一時的に抑えていたが、突然静かになると不安になり祖母を起こしたこともあった。
それから数十年が経ち、家には私と妻と子供の3人で暮らしている。
「昨日、いびきうるさかったよ。」
と妻からたまに言われることがあり、
「え?いびきしてた?」
「してたよ。うるさい!って言ったら静かになった。笑」と言い、子供と笑っていた。
うるさい!と言われて静かになるのはあるあるな話だと私は思っている。
昔の祖母のことを思い出しながら、私も笑いながら話を聞いていた。
しばらく経ち、妻から奇妙なことを言われた。
「夜、寝てたら、いびきがあまりにうるさくて目を閉じながら、うるさい!って言ったの。静かになったんだけど…」
「え?俺、昨日夜勤だったよ。」
「そう…あっ、夜勤だと思って起きたんだけど…」
「寝ぼけてたんじゃないの?笑」と私は言い、子供と一緒に笑った。
週末、妻は子供を連れて実家に帰省することに。
私は友人と飲みに行くことになっていて、夜遅くに帰宅した。
軽くシャワーを浴び、すぐにベッドに横になった。
眠かったのですぐに寝ようと思った瞬間、
「ンズァー、ンズァー」
「ガァー、ガァー」
と1階からすごい音がしていた。
びっくりして目を開け、耳を澄まして聞くと、大きないびきのように聞こえた。
ゆっくり立ち上がり、寝室を出て、階段を降り、音のする方へ。
祖父母の寝室からどこか少し懐かしいような音がしている。
襖を開けた瞬間、音は消えた。
酔っているし、妻がいびきのことを話してたから変に覚えてたんだと無理矢理納得して2階に戻ろうと襖を閉め、背を向けると、
「ンズァー、ンズァー」
「ガァー、ガァー」
背筋が一瞬にして凍る感覚があった。
懐かしいという感情は消え、恐怖心しかなかった。
襖をすぐに開けたが、またしても音は消えていた。
襖を閉め、階段へ向かうとまた大きないびきが聞こえてきた。
「うるさい!」咄嗟に叫んでいた。
すると、いびきは消え静かになったので少し安心して、寝室に戻り、眠ろうとした。
しかしその瞬間、1階からまた大きないびきが…
「またかよ!なんだよ!一体!」
布団から、「うるさい!」と叫んでも止まなかった。
私はイヤホンを付け、音楽を聴きながら無理矢理眠ろうとした。
音量を上げ、外からの音は全く聞こえない状況にした。
眠気が強くなってきたあたりで音量が徐々に小さくなっている感じがしたが今にも寝落ちしそうだったのであまり気にもしなかった。
すると、音楽の音量は完全に消え、変な音がイヤホンから聞こえている感じがした。
そして、突然、
「ナニ?起こすな。」
と知らない声がイヤホンから聞こえ、
「何!何!何!」
「誰?誰?誰?」
とパニックになり、家を飛び出した。
その後、私は車に移動し、車の中で朝まで過ごすことにした。
この日に飲酒をしたことをすごく後悔した。






















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