私が小学6年生の時の出来事。
当時はそれぞれの地区に児童の会長がいて、地区の行事を決めたり、集会などで進行したりという役割があった。私は6年生の時に地区の会長になり、面倒だったがなんとか無難にこなしていた。
夏休みの行事で、私達の地区は小学校の体育館に泊まることにした。
スケジュールや時間、それぞれの役割などを決め保護者の方々と協力して行うこととなった。
当日は食事も生徒達で作ったり、花火、肝試しと下級生達と共に楽しんだ。
そして、ある程度の行事を終え、体育館でそれぞれが持ち寄った寝袋を広げ、就寝の準備を進めた。
保護者も勿論、数名残ってもらい、体育館で寝泊まりをしてもらう。
広い体育館、自ずとみんな壁の方に集まり、寝袋を広げた。流石に体育館の真ん中で寝る子はいなかった。
就寝前に人数を確認し、夜中トイレに行きたくなったら保護者の方を起こして一緒に行ってもらうよう再度みんなに伝え、体育館の電気を消して就寝することに。
消灯後、しばらくは慣れない場所での寝泊まり、友人達も一緒ということもあり、なかなか寝付けない子が多かった。
私も気がつくといつの間にか寝てしまっていた。
夜中、ふと目が覚めた。
当時はスマホなどは無く、時刻を知るには体育館に設置されている時計を見るしかないが、暗くて確認することはできなかった。
再び、寝ようとしたが寝付けず、次第にトイレに行きたくなってきた。
寝袋から出て、物音を立てないように保護者の方の近くに行き、起こそうとしたが全然起きない。同行している保護者全員を起こそうとしたが誰1人起きなかった。
「なんだよ…誰も起きないじゃん。」と思い、仕方なく体育館の外にあるトイレに1人で行くことにした。
体育館の出入り口には非常口の灯りがあり、それだけが体育館内で唯一光っていた。
出入り口に向かう途中、みんなが寝ているスペースとは逆の壁側の方に1つの寝袋が視線に入ってきた。
「ん?誰か1人だけ離れて寝てるのか?」と思いながら歩いていると、寝袋がモゾモゾと動き、寝袋から上体を起こして壁に寄りかかるように座っていた。
誰だろう?と思い、ゆっくりと近づいていくと1、2年生くらいの男の子だった。
「なんて名前だったかな?」と考えていると、
「トイレ」
と言ってきたので、一緒に連れて行くことにした。
外に出て、トイレに行き、外にある水道で手を洗い、水を少し飲んでから、
「名前は?」と聞くと、
「ユウタ」
「ユウタ?そんな子いたような…」と考えていると校庭の方をユウタ君は眺めていた。
「どうした?なんかいた?」
静かに首を横に振り、
「いない。誰も。」
と呟いた。
「誰かいたら怖いよ笑。なんで、みんなから離れて寝てたの?」
「あそこがいいから。」
変わった子だなと思うと同時に勇気がある子だなと思った。
「そうか。」と言い、校舎に設置されている時計に目をやると時刻は2時5分。
「行こう」と振り向くとユウタ君はすでにいなくなっていた。
周りを見渡していると、
「○○君。」と名前を呼ばれた。
振り返ると保護者の方が入り口から顔を出して私を呼んでいた。体育館に戻るとユウタ君の寝袋が膨らんでいるのが見えたので安心し、私も自分の寝袋に戻り、眠りについた。
























ぎゃー怖