深夜、布団の中でスマホをいじっていた。
いつも通りの、眠気が来るまでの暇つぶし。
午前2時34分。
不意に、画面がブラックアウトして、自分の顔が画面に映った。
画面を見て――
あることに気づいた。
スマホ画面に映る自分の後ろに、“肩越しに覗く顔”があった。
だが、部屋には私しかいない。
固まる指。
鼓動が耳の中で爆音に変わる。
反射的に後ろを振り返って確認する。
……いない。
ほっとして再び画面を見る。
……!!
黒い画面にはまだ、“あの顔”が映っている。
それも――
さっきよりも、ずっと近くに。
思わずスマホを取り落とし、悲鳴を上げた。
隣の部屋で寝ていた兄が駆けつけ、電気をつけたが、部屋には私だけ。
ただひとつ。
スマホの壁紙が、いつの間にか変わっていた。
その壁紙には、自分が映っていた。
画面の中で、後ろからスマホを覗き込んでいる、“黒い女”と一緒に。
“黒い女”は、両耳の部分から腕が生えた、奇妙な姿をしていた。
一目見ただけで解る、禍々しい雰囲気。
よく見ると頭の両横から生えた手は、私の頭を掴もうとしていた。
ヒイッ!と声が出た。
――この恐怖体験は、誰にも話していない。
今でも、ときどき画面が真っ暗になると、誰かが肩の後ろから覗いてくるような気がして落ち着かない。
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