車の周りは全て林に囲まれており、どこにも通れる道などなかった。
何が起こってるのか分からない。どうなってるんだ。
…その時だった。背後から
「ハハ、ハハハハ…」
と、笑う声が聞こえた。こんな時間、こんな場所で。
声がした方を振り向く。
もう夏になるというのに、背筋が凍りつくような寒さが一気に襲ってきた。
____視線の先には、
喪服を着た長身の男が…3人…いや、5人……等間隔に広がって俺の車を囲んでいた。
男は皆、口角が不自然に上がり、白い歯を剥き出しにしている。
まるで人間の笑顔を模倣しただけのような、機械のような不自然さだった。
……そして男たちの目には、白目しか、無かった。
身体中から冷や汗が吹き出す。
本当に運転席のドアまで来ていて良かった…。
俺は乱暴に車に乗り込み、ものすごい勢いで方向転換し、木々の間を無理やり縫ってとんでもない勢いで来た方角に引き返した。
案外すぐに見知った道に出たが、山を抜けるまで気を抜けず、いつも寄り道するコンビニまで愛車をぶっ飛ばした。
程なくしてコンビニに辿り着き、人の気配のするコンビニの明かりを見てほっと胸を撫で下ろした。全身の力が抜け、ドッと疲れが押し寄せる。
「あ〜…マジ疲れた…タバコ吸いてえ…」
車から降りてタバコに火をつけた。
店の光だけが闇夜を照らし、木や葉っぱ、どこか懐かしくもある夏の匂いに安心感を覚えていた。
やはり深夜のコンビニにはどこか特別な非日常を感じさせる力がある。
ため息混じりに暗い空に煙を吐いた。夏夜の風が生ぬるくて心地良い。さっきまでの恐怖は少し和らいだ。
ここまで来れば大丈夫だろう。
……そう思った。
トットットッ……
……誰かが歩いてきた。先程の光景がフラッシュバックして背筋が凍りつく。
そっちを見てしまえばさっきの喪服の白目がこちらを見てる気がして、怖くてそっちを見るのを躊躇った。
しかし、ここはもう人里。よく分からない山の中じゃない。
意を決して横を見た。

























どうやったらさっきのところで笑えんねん
NG行動全部やっちゃってるわけか