私には、5歳の息子がいました。男手一つで育ててきた息子は、内気ですが、いつもロボットのアニメを見ていました。
そんな息子には、少し変わったところがありました。喋れないのです。言葉はわかっているし、話しかけても通じるのですが、喋れない。
医者に聞くと、幼稚園でいじめられたことのストレスによるものだそうです。
私は息子をしばらく休ませて、また喋られるようにいろいろ工夫しました。けれど、息子は一向に喋りません。
ある日、息子が大好きなロボットのアニメのおもちゃを買いました。電池を入れると喋るので、息子の治療に役立つと思ったからです。
早速持って帰って、電池のふたを開けました。息子は、その作業をまじまじと見つめていました。
そして、私が電池をいれると…「やあ!」ロボットが喋りました。息子は驚いていましたが、すぐ、ロボットで遊び始めました。でも、息子は喋りません。「はあ…今回も失敗か。」と思いました。私は残念がりながら、トイレに行きました。
トイレから戻ると、息子が部屋の真ん中に立っていました。
そして、「ぼく、ロボットさん、から、しゃべ、るエネ、ルギーもらった。」と、喋ったのです。「ああ、息子…」私はそう言いながら息子を抱きました。
これが、最後の生きている息子との抱っこでした。
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