それはとある夏の日曜日のこと。
市街にあるホテルの一室で、Y小学校六年一組同窓会は行われた。
立食形式の会で、男女合わせて18名の三十路が一堂に会す。
前嶋は当時の友人だった古市と向かい合い、話していた。
前嶋と古市は当時、隣県郊外にある同じ市営団地に住んでいた。
そこには元々昭和の初め頃に建造された古い集合団地があったらしいのだが老朽化が進みバブルの頃には全て取り壊され、自治体主導で新たに市営団地が計画的に建造された。
前嶋は彼が10歳の時、両親とともにその市営団地に引っ越す。
山あいに五階建ての灰色のオブジェが整列した様はまるで秘密基地のようで、なかなかに壮観だったのを彼は今も憶えている。
団地は縦に五棟並んだものが、東西にA棟の列から始まりDまで等間隔に横に配置されていた。
前嶋の住んでたのはAの3棟、古市はBの3棟だった。
つまり彼らは通路一つ隔てて、暮らしていた。
「市之助?
誰だよそれ
何か古臭い名前だな
そんな奴、いたっけ?」
古市が前嶋の言葉に疑問を投げ掛ける。
前嶋は答えた。
「いや、同じクラスじゃなかった」
古市の質問は続く。
「じゃあ同じ学年の違うクラスということか?」
「いやたぶん違う。
でも俺たちと同じ団地の奴だったんだ」
「知らんなあ。
なあ、ところでさあ、、、」
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こんなに感動したものは初めてです。
名作じゃんけ。
コメントありがとうございます
─ねこじろう