事故物件
投稿者:イエティ (51)
短編
2021/03/22
10:25
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でもおかしなことに、一日掻いてないのに包帯に血が滲むんだよね。
このころから痒い→痛痒い→痛いの領域に進行してた。
丸2日我慢しても血が滲む。
いよいよおかしい。
包帯を取って風呂に入り、手首を洗い観察してみると、
明らかに傷が深くなってる。
洗った直後とはいえ、傷が新しく見える。
こりゃ自殺者の呪いだ、、と確信し、翌日から俺は自宅の風呂に入らないようにした。
徐々に傷も癒えてきて、事なきを得た。
あのまま自宅の風呂に入り続けてたら動脈までパックリ…てことになってたかも。
である日、夢を見た。
俺は風呂場にいる。
浴槽に浸かって、右手にはカッター。
左手首を切ろうとするが、夢の中で必死で抗う。
体を無理やり動かされているかのように、カッターの刃が左手首に近づく。
カッターの刃が手首に入り込み、じわあっと血が滲む。
すんでのところで、カッターを放り投げる。
ん?誰かいる・・・
視点が左手首から正面を向く。
そこには全く知らない男?が、いる。
浮かんでいるようなイメージ。
全身影のように真っ黒でぼやけていて、
目と口がかろうじて認識できる。
そいつの両手が俺の頭まで伸びてきて、ガシっと掴む。
握りつぶされそうなほど強い力で頭を掴まれ、恐怖と痛みで意識が朦朧とする。
影が、満面の笑みで言う。
「もう少しだったのにね」
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