居るはずの無い子
投稿者:太田 馨 (2)
長編
2025/02/01
18:57
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あぁ、ドアが開く。
あの恐ろしい姿を、今度ははっきり見てしまう
私がそう絶望した瞬間でした。
「なにぼーっと立ってんだよ!」
私の手を引いて、友人が先輩の部屋に
私を強引に引き込んだのです。
その途端に身体の硬直は解け、私はとっさに
ぎゅうっと目を瞑りました。
そのお陰で私は、ドアの開いたその先を
見ることは無かった。
先輩部屋に入った後は、一気に緊張が解けて
私はその場にへたりこんでしまいました。
その後私は、事の顛末を先輩たちに話して
自室に戻らず先輩たちと共に寝ることで
何事もなく朝を迎え、無事帰ることができました
ですが私は、今でも忘れられないのです。
友人に連れられる際、あの部屋から聞こえた
チッ…
という、少年の物とは思えない、低い舌打ちを。
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