その後、俺達は田村の親に連絡し、救急車を呼んで田村を病院に連れて行った。もちろん起こったことも全て隠さずに伝えた。
俺達は田村の両親から怒られることを覚悟していたが、メールの履歴で田村が言い出しっぺであることを知ったからか、俺達は何もお咎め無しだった。
それどころか「迷惑をかけて申し訳ない」と謝られてしまった。
その後も田村はしばらく昏睡状態が続いたが、ある時田村の親戚が霊媒師のような人を連れてきた。
俺達はお祓いの様子を見せてもらうことはできなかったが、どうやら数日にわたるお祓いの末にやっと目を覚ましたらしい。
田村はしばらく休んでから学校に復帰したが、あのホテルで見たものについてはまるっきり忘れているようだった。
その後特に何かあったわけでもないが、田村とは自然と疎遠になっていった。
林は相変わらずビビりだったが、あれ以来霊の姿を見ることはなくなったと言っていた。
島田も懲りたのかヤンチャな遊びはしなくなったし、もちろん俺も青山もあれっきり心霊スポットには行っていない。
あの廃ホテルも取り壊されて今はピカピカのビジネスホテルが建っている。
あれから10年。
最近、変な夢を見るようになった。
夢の中で俺は、あのホテルの客室をひとつひとつノックしている。
そして三階の客室、田村がいたあの部屋をノックすると、ゆっくりとドアが開く。
いつもそこで目が覚める。
「兄貴、昨日変な夢でも見たの?」
いきなり弟に声をかけられドキッとした。
「え?俺うなされてた?」
「うなされてたっていうか……気になって部屋覗いたけどなんか様子が変だったよ。目をかっ開いてさ、眼球がなんかグルグルしてて、口元はニヤーって笑ってて、アヒャヒャヒャヒャって笑ってて……」























こわいこわい
こわい
マーマー怖いな
こわいな