エキストラのバイト
投稿者:トマト鍋 (1)
短編
2025/01/22
15:51
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Mと二人で顔を見合わせ外に出ると、主人公役の俳優の方がレジャーシートの上に寝かされていました。
口から泡を吹き、手足がビクビクと痙攣しています。
スタッフの一人がどこかに一生懸命電話をかけていました。おそらく救急車を呼んでいたのだと思います。
私たちエキストラは何の説明も受けずにワゴン車に乗らされ、K駅まで送ってもらうことになりました。
車内の空気は最悪で誰一人口を開きませんでしたが、駅に着いたところで
「本日のお仕事分のお給料はきちんと支払います」
と封筒を渡されたので安心しました。
ちなみに当初の報酬は7000円でしたが、なぜか5万円も入っていました。
その後、Mとあの廃墟での仕事の話をしたのですが、Mが待機していた部屋にもボサボサの髪の女が来ていたようです。
Mもそれをスタッフか何かだと思い込んでいたようですが、あの日の状況を見るにやはり生きた人間ではなかったのかな、と思います。
それ以来、エキストラのバイトは辞めました。
あの監督もホラー映画を作るのはやめてしまったようで、今は監督時代と同じ名前でボカロ曲を作って投稿しているようです。
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