神の子ども
投稿者:神無月 (1)
短編
2025/01/13
15:00
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母はさすがに怖くなり、私の能力のことは伏せた上で両親(私から見た祖父母)に相談したそうです。
しかし祖母も祖父も「出産の不安で変な夢を見たんだろう」と言うだけで、結局神が母の前に現れた理由はわからなかったそうです。
その後、母の前に神が現れることは二度とありませんでした。
普通なら、いくら自分に特殊な能力があったとしても、こんな手紙を読んだところで神の子だなんて信じないと思います。
しかし私はこの手紙を読んですぐに、母の言っていることが本当なんだと信じられました。
何故なら私も、その神を見たことがあったからです。
小学校低学年の頃、訳あって両親が深夜に出かけ、一人で寝たことがありました。
怖くて不安でなかなか寝付けず、天井を見てボーっとしていると、誰かが私の身体を優しくトントンと叩き始めたのです。
暗い部屋の中、はっきりとは見えませんでしたが、それは絵本で見るような大きな鬼の姿をした何かでした。
不思議と怖くはなかったのです。むしろその手の温かさに安心して、私はすぐに眠りに落ちました。
てっきり鮮明な夢だと思っていたのですが、どうやらあれは現実の出来事だったようです。
母が亡くなり、誰かに能力のことを話しても問題ないと判断し、この話を残しておこうと思いました。
私は現在一児の父となりましたが、娘は至って普通の子供です。特殊な能力もありません。
ただなんとなく、強いものに守ってもらえている気はします。
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