聞いたことがある話

それから2ヶ月ほど経ったある日。
その日も雨が降っていた。
私は久々に外に出て人影を確認しようとした。
外に出て、私はあまりの恐怖で目を見開いた。
以前、見た時は数百メートル先に人影を確認していたが、今見ると数十メートル先まで来ていた。長い髪の女性がずぶ濡れでこちらを見ている。
「やっぱり、あの話と同じだ…そのうち、家まで来る…」
私は自宅に戻り、どうしようもないこの状況に呆然とした。
「あと、2、3回雨が降ったら家に来る。」
天気予報を恐る恐る確認してみると、しばらくの間天気は悪い予報。
そして、2日間雨が続き3日目の夜。
私は何かあったらすぐに逃げよう。車の鍵を持ち、いつでも逃げれるようにしていた。

しかし、その日は何事もなく終わった。
「よかった…なぜかわからないけど無事だ。」
私は周りの人達に何事もなかったことを報告し安堵した。

次の雨が降った日に思い切って外に出て確認してみることにし、その日がきた。
雨が降る中外に出てみると、今まで見えていた人影が見えなくなっていた。
「よかった。やっぱり何もないんだ。」
と思い家に戻ろうと後ろを振り向いた瞬間、私は驚いた。
今まで見えていた人影の背中が数十メートル先に見えた。さらに数十メートル先には自分と同じように雨の中、女性の姿を見て固まっている人がいた。
「え？あの人にも見えてる？っていうか、初めからあの人のとこに行くつもりだったのか…」
奥に見える人が誰なのか確認することはできなかった。私と同じように恐怖を感じてると思うと気の毒でしょうがなかった。
それからまもなくして、近所の人が亡くなったと聞いた。

私の自宅よりも上に行ったあたりに住んでいた方らしい。
私は、
「あの女性の霊の仕業か…」
「やっぱり、あの話と同じだったんだ。」
と思い、あの時感じていた恐怖が蘇ってきた。

数ヶ月後の雨の日、何気なく外を眺めて私は固まった…
あの女性がまた橋の上からこちらを見ていた。
「えっ？なんで？また別の人か？」と思い周りを見渡したが誰もいなかった。
「俺だ…今度は俺だ…」と混乱し自宅に駆け込んだ。
「なんで？また？俺？おかしいだろ。なんでこんなに現れる？」
と混乱していた。
それから私は精神的におかしくなり引きこもるようになってしまった。