ごめんください
投稿者:たち (14)
「ごめんくださーい」
祖父母を訪ねて来る人が多かった時によく聞いていた挨拶。
玄関がガラガラと開き、家に響いていました。
祖母が対応し、「どうぞ、どうぞ」と家に上がるよう促し、茶の間でお客さんが祖父や祖母と話をよくしていました。
祖父母が亡くなり、訪問客も少なくなりました。
そんなある日、体調を崩し休んでいた私は自宅に1人で寝ていました。
妻や子供達はそれぞれ、仕事や学校で不在でした。私の体調はスッカリ良くなり、明日から仕事に行こうと思っていました。
2階のベットで横になり、スマホをいじりながらウトウトしていました。
そんな時、
「ごめんくださーい。」
と言う声が聞こえました。初めは隣の家のお客かな?と思っていましたが、どうやら我が家のお客さんのようでした。
「誰だろう。申し訳ないけど居留守使おう。」
玄関は鍵がかかっているし、留守だと思って帰るだろうと思い、寝ることにしました。
声も聞こえなくなり、寝ていました。
「ごめんくださーい。」と言う声で目が覚めました。
内心、また?と思いましたが再度、居留守を使いました。
その後、私の眠気は一瞬にして吹き飛びました。
「ギンゴーン」というかすれた音が聞こえました。
自宅にチャイムが設置されているのですが、10年以上前に壊れて完全に鳴らなくなっています。
「ピンポーン」と昔はキレイに聞こえていましたが、段々壊れてきて最後の方は「ギンゴ〜ン」という音が微かに鳴っていました。
何十年ぶりにその音が聞こえてきて、体中に寒気がして動くことができませんでした。
「気のせいか…?たまたま鳴った?」と考えている間も、
「ごめんくださーい。」という声はしていました。
この人がチャイムを押して、たまたま鳴っただけか。私は降りて行って対応しようとしましたが体が動けなくなってました。
すると、玄関が開く音が「ガラガラ…」とし、「ごめんくださーい。」と言っていました。
ありえない状況に呆然とし、鍵閉めてたよな?
その後もありえないことが続いていきました。
ドス、ドスと廊下を歩きながら「ごめんくださーい。」と歩き回っています。
「いとこか親戚かな?それしか考えられないな。そうに決まってる。」
と思っていました。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。