排水路

私が小学生の頃に体験した話です。
自宅の脇には深さ1mちょっと、幅が約80㎝ほどの排水路がある。
普段は住宅から出た排水だけが流れてるので水位は数㎝しかない。
よくボール遊びをしていては、ボールを落とし排水路内に降りて取っていた。

小学生の頃、友人と3人で帰宅していた時に
「俺ら先週、ここ通っていったぞ！なあ？」
「ああ、行った！」
と言ってきた。

2車線の道路の下を排水路が通っていて、排水路内から除くと向こう側が見えている。
そこを、しゃがみながら通って向こう側に行ったというのだ。
「また行こうぜ！一緒に行く？」

「行くよ」

3人、排水路内に降りて1列に並びしゃがみながら進んで道路の下に進んで行った。
中は暗く、上の道路を走る車の音が聞こえ、排水を踏むピチャピチャという音だけが聞こえる。
ドキドキする気持ちと多少の不安を抱きながら進んだ。
2、3分ほどで向こう側に着き、達成感と安心感で笑顔で排水路から出た。

数日後、同じメンバーで帰宅していたら
「また、行く？」
前回、渡りきったこともあり
「いいよ！」と即答した。

前回と同じようにしゃがみながら1列になり進み始めた。
歩き進み、ちょうど道路の真ん中くらいに来たあたりで先頭の友人が

「おっ、こっちにも通路ある」
新たな通路の先に光が見えているらしく、どこかに繋がっていて外に出れるとのこと。

今、考えるとあり得ないとすぐにわかる。

「行ってみよう」
と声が聞こえ、多少不安があったがここで行かないとビビりだと思われるので覚悟を決めていた。その時、
「こら！何してる！」
と怒鳴り声が響いた。
後ろから俺らのことを見かけた人が注意してきた。
やばいと全員が思い急いで前方に進み、逃げるように排水路から上がり走って帰った。
後日、小学校に通報がいき全生徒に注意を促された。
それからは排水路内を通ることは無くなった。