襖(ふすま)
投稿者:腕井 (1)
夢の話。
私は知らない民家の和室にいるようだった。
あたりは真っ暗で何も見えない。
どうやら布団に寝かされているようだ。
体はまったく動かせない。
ただ目だけは動かせるようで、キョロキョロと辺りを見回してみる。
部屋には私がいるだけで、何もないかに思えた。
しかしよくよく見てみると、どうやら足元から1mくらいの場所に襖がある。
閉まっているようだ。
するとその襖、誰もいないのにススス…と音を立てて少しずつ開いていく。
そしてトンッという音を立て、襖は完全に開いてしまった。
襖が完全に開ききった先、真っ暗な空間にぼんやりと何かが見える。
遠すぎてはっきりとは分からないが、白い人型の何かが動いているようだ。
と、ここで急に体が動くようになった。
不気味なので襖を閉め、また布団に潜り込む。
するとまた襖がススス…と1人でに開き始めた。
襖が完全に開き切った先、また白い人型の何かが見える。
…さっきより近づいてきている。
恐ろしくなり、また襖を閉める。
この動作を何度も繰り返すうちに、近づいている人型の姿がはっきりと見えるようになった。
目は別々の方向を向いており、口は裂けている。
手足は本来あるべき位置についておらず、ズッズッという音を立てながら、体を引きずるようにしてこっちへ向かってきている。
聞き取れないが、何かを呟いているようだ。
この襖以外に出入口はない。
逃げられないのだ。
あまりの恐怖で強く目を瞑り、目覚めるよう必死に自分に言い聞かせる。
夢だ、これは夢だ。
すると高いところから落ちたような感覚で、一気に目が覚めた。
自室のようだ。
ほっと胸をなでおろす。
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