祖母が降らせた霧
投稿者:阿弥 (3)
短編
2021/03/13
22:50
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外は深い霧が立ち込めていた。
祖母の家は丘の上に建ってるので
このあたりで「濃霧」に見舞われると
センターラインさえ消されてしまうほどだ。
朝からの仕事の激務と祖母の死。
私は疲れ切った体を一刻も早く休めたかったので、
いつもの道ではなく「近道」を通ることにしたのだ。
夜に運転してくるのは初めてだったから少し自信が無かったものの、
小路を何度か左折していくと大通りに出ることは確信していた。
それにしても霧が濃くて見通しが悪い。
10分ほど進んでも大通りに出ることはなく、
そのうち道を間違えたことに気が付いた。
疲れていたせいなのか霧に迷わされたのか。
「落ち着いて思い出して」
と自分に言い聞かせながら
大通りであろう方向に進んでいくと・・・
そこは先ほど後にした「祖母の家の前」だったのだ。
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