【short_07】事故物件住みます友人

家賃が安いから、ネタになるから、そんな理由で好き好んで事故物件に住んでいる友人がいる。彼曰く、霊感がまったくないので気にならない・・・らしい。

そんな友人から、ある日突然電話が来て、暗い声で「どうしても来てほしい」と誘われてしまい、断ることも出来ずにそいつのマンションへ遊びに行く事になった。

正直しんどい。なぜなら、自分は霊感が強い方で、どちらかというとよく見えるし、事故物件の家の前にくると頭痛がしたりと身体が反応してしまうのだ。

ピンポーン、ガチャ・・・「よう、よく来たな。上がってくれよ」
まるでドアの前で待っていたかのように、すぐに友人が現れた。

「なぁ、どうだ?何か感じるか?」友人がイキナリ本題に入って来た。

「なんだよ、感じるよ。頭痛がするんだよ・・・今日は早く帰らせてもらうからな」

「あぁ、で、どこから感じる?」

「なんだよ、今日はヤケにせっかちだな。・・・そうだな、奥の方かな?」

「さすがだな」友人はそんなことを言ってオレを部屋の奥に迎え入れる。

奥に行くとドアが３つほどあった。

「さて、どこから気配がする?」・・・まるでクイズだ。友人の悪いクセだ。
こうして心霊をネタにして、友達を呼んではゲーム感覚で遊んでいるらしい。

ボクは一番禍々しい気配を出している一番奥の部屋のドアに手をかけた。

「ここだろ?」
「さすがだな。開けてくれ」

友人にせかされてボクはドアを開けた。

そこには、首を吊って死んでいる友人がいた。
振り返ると、さっきまで案内してくれた友人がいない。
「あぁ・・・そぅいう事かよ・・・」どうやら友人は自分の遺体を早く発見してほしかったようだ。まったく、霊感が強すぎるのにも困ったものである。生きている人間と死んだ人間の区別もできないんだから・・・。

ボクは涙をぬぐいながら警察に電話した。