犬を飼わなくなった理由
投稿者:あ (2)
短編
2023/12/18
00:51
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「がさ、ざざっがさがさ。」
玄関に近づく度に音も大きくなってくる。それと同時に俺の期待と鼓動も高鳴っていった。
メグ、メグ、1人にしてごめんな。寂しかったよな。そんな想いが溢れてきて、泣きながら玄関に続く扉に手を添えた。
「がさ。」
音の主もさすがに気が付いたのか、音が止まった。
俺はもう喜びと興奮で何も考えられなくなっていた。
「メグ!」
俺は名前を呼びながら勢いよく玄関への扉を開いた。
暗がりの中では、俺に背を向けたメグのふわふわのしっぽだけが見えた。
だが、メグは俺にかまわずお菓子の袋を見つめていた。
不思議に思い、よく見える距離まで近づいてみる。
「メグ!」
もう一度声をかけて、顔を覗き込んだ。けど、俺はその選択をすぐに後悔することになる。
結論からいうと、そいつはメグじゃなかった。犬でもなかった。
顔の部分の骨がむき出しになって、目と耳が無い。鼻は半分えぐれている。
獣のような、”何か”だった。
俺はショックを受けて、気絶した。朝、俺が目を覚ますと、玄関にはいつものように空の袋だけが残っていた。
あれから、俺は犬を飼ってない。
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メグの死因も気になり始めた…
尻尾だけはメグだったってこと??なんや?