記憶から消したい話

私は物心ついた時からいわゆる幽霊というものが見えました。
これは私が中学生の時の話です。
拙い文章ではありますが、どうか最後までお付き合い下さい。
当時私が通っていた中学校は、行くまでの道にとある事件があった一軒家がたっていました。
その事件の内容はざっくり言ってしまえば子供のいる家庭を狙った一家皆殺し殺人でした。
あまりに狂気的な事件なだけあってその家からは常人でも分かるような不気味さというか禍々しさというものがありました。
ある時です、何故か分かりませんが私は吸い寄せられるようにその一軒家の敷地に足を踏み入れてました。もちろん規制線ははられてますし、いつ通っても人がいるような道なのに何故か誰も止めてくれないことに気づきました。頭では分かってるのに体が言う事を聞いてくれない、動く金縛り状態にパニックになっていて、気づけば玄関の前に居ました。その時、頭が急に痛くなってあきらかに私のものでは無い記憶(?)が途切れ途切れですが流れてきました。男の人、その人の奥さん、2人の子供。そして雨も降ってないのにレインコートを着て、ニンマリと気持ち悪い顔で笑う男、その男は背負ってたリュックから包丁(刃の部分が異常に長い)を取り出すと次々に家族を殺していきました。

そこまで見て、ふと頭の痛みがひいていくのが分かりました。何気なく、カーテンが開けっ放しで中が丸見えのリビングを見てみると、そこには大小様々の手跡と足跡が壁や床、窓、天井以外のあらゆるところに着いてました。きっと刺されたあともなお子供を守り、助けを呼ぶために動き回ったのでしょう。この時点で犯人は捕まってないです。
私はせめて献花しようとお母さんからお金をもらって花屋に行く途中、見覚えのある顔とすれ違いました。その状態を知った時全身の震えが止まりませんでした。その人はまさにあの家で一家を殺した人だったからです。それもあの時と同じく雨も降ってないのにレインコートを着て。私はすぐに警察に通報し、何とか被害が出る前に捕まえることが出来ました。その後の話ですが、犯人は一家皆殺し事件を認め、今も刑務所の中だと思います。
もしかしたらあの時の不思議な体験はきっと事件を止めるためのものだったのかもしれません。
でも私、改めて手を合わせに行った時はっきり聞こえたんですよね。

なぜ邪魔したの？

ってね。