話し声
投稿者:ナナカマド (3)
短編
2023/09/12
13:07
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まだ体は動かない。
どのくらいの時間が経っただろうか、いったい今は何時だろう。
明日も早いのに、ちゃんと起きれるのだろうか。
遅刻して皆の前で怒られたりするのだろうか。
ごちゃごちゃと思考を巡らせていると、外が騒がしいことに気付く。
聞き取れはしないが、話し声のようなものが聞こえる。
よく聞くと一人ではない、男性か、女性かも分からない話し声。
こっちが怖い思いをしているときに、
あちらでは楽しい酒盛りをしているのかと思うと腹が立つ。
八つ当たりも甚だしい。
まだ体は動かない。
窓の外から視線を感じた。
一つ二つでない、複数の視線。
瞼は閉じているというのに、なぜか分かる。
はっきりとは見えないが、ぼんやりと人の形だと分かる。
真っ黒な人の群れ。
こちらを覗きながら何か話している。
夜中だというのに酒盛りしていたやつらは外に出てまで騒ぎ出したのか。
なんて迷惑ななんだ。
同僚とは言え人の部屋を覗くなんて失礼ではないか。
あんたたちだって明日も早いだろう。
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