話し声
投稿者:ナナカマド (3)
短編
2023/09/12
13:07
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そこまで馬鹿な人たちではないはずだ。
さすがにこんなに早く同じ過ちを犯すわけはない。
そんなことを考えていると、月明りに照らされた部屋が陰る。
月が雲に隠れたのだろうとも思ったが、すぐに月明りは戻ってきた。
そんなに雲の流れが速いのだろうかとカーテンの隙間から外を覗く。
何かがいる。
黒い何かがそこにいた。
ベランダの柵の向こう、黒い大きな何かが波打っているように見える。
よく確認しようとベッドから起き上がろうとすると、目が覚めた。
なんだ、夢だったのかと安堵し、もう一度眠りにつくのに体制を変えようとする。
動けない。
自慢じゃないが今まで金縛りになんてあったことは無い。
どうすればいいのか何て分からない。
目覚めたときに一瞬開いた目も今では瞼が持ち上がらない。
手も足も、まるで動く気配がない。
怖い話を見聞きするのは好きだが、実際にこの身で体験するのは無理だ。
怖い話を聞いた日の夜中のトイレは怖いのだ。
髪を洗う時は度々背後を確認してしまう。
金縛りにあうなんて怖い話の鉄板だ。
枕元に幽霊が立っていたり、馬乗りされたり。
急に足を掴まれたりしたら意識を保てる自信はない。
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