霞がかった夢
投稿者:ナナカマド (3)
私は特に霊感があるというわけではありません。
家族にも霊感がある人はいません。
ですが、母と私はたまに変わった夢を見るんです。
今回は母が見た夢の話です。
母の祖父、私から見れば曾祖父は私が生まれる前に亡くなっているため、実際に会ったことは無いのですが、
当時にしては背が高く、黙っていると近寄りがたいような人だったそうです。
でも話しかけるとニコニコとよく笑ってくれる。
母が幼かった頃、天気のいい日にはお散歩に連れて行ってくれて、こっそりお菓子なんかを買ってくれるような人だったとか。
母はそんな曾祖父が大好きだったそうです。
その曾祖父が入院していた頃の話です。
体調が悪く、入退院を繰り返していたという曾祖父。
年齢も80歳半ばというのもあり、時間が出来たらなるべく会いに行こうと家族で頻繁にお見舞いに行っていました。
その日は曾祖父も少しは体調が良かったのか、喋れはしないものの母達の話に小さく頷き、笑顔を見せることもあったとか。
そんな日の夜に変わった夢を見たそうです。
視界はぼんやりと霞がかっていて、でもどこからか光は射していて、
見える範囲には何もなく、うろうろと歩き回っても何にもぶつからず、ただただ広い空間にいたようです。
しばらく彷徨っていると遠くから音が聴こえてきたのです。
ジョワーン、ジョワーンと楽器が鳴っているようで、どこから聞こえるのかと耳を澄ませていると、
ジャーン、ジャーンと音が大きく、早くなっていく。
何の楽器だったかと考えて、銅鑼の音だと気づいたのと同時に目が覚めたのだとか。
寝起きのぼんやりとした頭で、なんだか変わった夢を見たなと考えていたところ、
電話の音が鳴り響きました。
曾祖父の訃報を知らせる電話でした。
怖くないけど良い話だった
良い話だった