ホームで会う男性

毎朝電車に乗って通勤していたのですが、そこでいつも会う男性がいました。

その男性はスーツ姿でどこにでもいるようなサラリーマンでした。

平日に同じ時間の電車に乗る人は多くいるので、特に気にもせずむしろこれから同じようにお仕事に向かう人という親近感がありました。

電車では同じ車両で、満員のためすぐそばにいる事もありました。

あるお休みの日に電車で出かける事があったのでホームに行くと、見覚えのある男性がいました。

その方はいつも通勤で会う男性でした。

休みの日まで会うなんて運命的だなと感じた時に目があったので、お互い会釈したのです。

以前より少し近い存在になったような気がしました。

なんと驚くことにその日の帰りの電車も同じだったのです。

流石にお互い驚き、すごい偶然ですねと私から話しかけました。

そこで初めて彼と会話をしたのですが、とても気さくで話しやすく好印象だったのです。

明日も同じ電車ですねと笑いながら話して別れました。

こんな事あるのだなと少しウキウキしている自分がいました。

自宅に入ってポストを確認するのを忘れて慌ててまた外に出ると、あの男性が私のマンションを眺めていたのです。

男性は私に気づくとそそくさと歩き出しました。

少し違和感を感じ、なぜ眺めていたんだろうと怖くなりました。

次の日の朝男性はホームにに現れなかったのです。

今日は休みなのかなとあまり気にしていなかったのですが、仕事後自宅に帰りポストを開けると手紙が入っていました。

差出人は書いておらず、不気味だなと思いながら封を開けました。

そこには欲しいという文字が沢山書かれていたのです。

ゾッとして血の気が引きました。

急に外が気になり、カーテンの隙間からそっと覗いてみるとあの男性がまたいたのです。

きっとあの人が書いた手紙だとすぐに気付きました。

もう同じ電車に乗ることは怖く感じ、電車の時間をずらしました。

しばらくして引っ越しする事にして、もうあの駅のホームには行っていません。