その日以来、とも子は私を避けるようになってしまったが、皮肉にも私たちは夢の中で顔を合わせる事になる。
とも子が私を避け始めてから一ヵ月くらいだったと思う。
再び女の夢を見た私は、これまで通り女から隠れるようにしてマンションからの脱出を計った。
だが、今回もいつもと違ったことがある。
学校へ向かう途中に知らない男性や女性に遭遇したのだ。
「え、誰?」
思わずそんな事を口走ったが、知らない人たちも私の姿を見かけると「あー、人がいたー」とか何か呑気な事を言ってた。
でも、私としては女から逃げている途中だから知らない人たちに費やす時間が惜しく、すぐに「す、すみません、急いでるので」と頭を下げて走り出した。
知らない人たちは「ちょっとー」と何か言いたげだったが、私が走り出してからしばらくすると、後ろから「うわああああ!」だとか「きゃああああ!」と恐らく彼らの悲鳴が上がったので、あの女に襲われたと思った。
とも子に続いてまた知らない人が現れた。
しかも、今回の夢は一人二人ではなく、私が女に捕まるまでに10人とかそのくらい見かけたのがびっくりだ。
だが、人が増えたからか女も追いかける相手が増えたので、その日初めて4時間くらい逃げ切れた。
人が増えればそれだけ私が逃げ切れる時間が増えるのだ。
人が増えた理由は分からないものの、私はこの変化に希望を見出していた。
久しぶりの夢を見た翌朝、私は登校する際にとも子を見かけた。
ちょうど曲がり角でばったり出会ってしまった私たちは、気まずそうに目線を外したが、とも子の方から「…あの夢みた?」と声を掛けてきた。
その表情は暗く沈んでいたが、私はとも子も同じ夢を同じタイミングで見ていると確信し、「…うん」と頷く。
朝からどんよりした空気を纏って歩いていく私ととも子。
とも子は「〇〇ちゃんから夢の話を聞いてから私もあの怖い女の人が出てくる夢を見るようになったの」と恨みつらみを吐くように語った。
私はいたたまれない気持ちでとも子の話を聞いていた。
「…でね、もしかしたら私もその夢を見るようになったのは、夢の話を正確に聞いたからかもって思って、実はブログに書いたんだ」
当時、ミクシィの個人ブログが流行ってて、とも子も親のパソコンで自分の日記をつけていた。
とも子ははじめて女の夢を見たときもその恐怖体験をブログに綴ったそうだが、二回目、三回目の夢の内容もブログに詳細を語ったという。
閲覧数こそ一桁のただの趣味兼日記帳みたいなものだったが、少なからず見ている人も居たわけで、とも子曰く「もしかしたら私の日記を読んだ人が同じ夢を見ているのかも」と荒唐無稽なことを言い出したのだ。
とはいえ、私自身、とも子に話してしまった為に同じ夢を共有してしまっているので、何とも言えなかった。
そして、とも子は「どうやったらあの夢を見なくなるの?」と切実に訴えてきた。
それは私にも分からない。
毎日ではないとは言え、女に追いかけられる夢を何度も見ていると精神がすり減ってしまうのはとも子も同じなのだろう。
だから私は「…ごめん、わからない」としか言えなかった。
とも子は無言で歩みを早めて私から距離をとると、私たちは別々に登校した。























1本の映画をみた満足感!
↑それな 面白かった映像で見たい
カラダ探しっぽい
クッソ怖くて読みごたえがあって面白かった!