風呂場の手形

これは以前兄から聞いた話です。
私の兄は現在社会人として働いていますが、ちょうど4年前、兄が大学生の頃の話です。

そのとき兄は、近くの飲食店でアルバイトをしていました。
その日兄はある一人のバイト仲間のYさんとシフトに入っていました。Yさんはその日掃除当番で、掃除用具を入れている部屋にモップを取りに行きました。
すると座っている兄の方へYさんが青ざめた顔で走ってきたのです。
兄「どうしん！？」
Y「お、、、男の子が、いるんです。」

兄「え･‥？」
Y「･‥あの、･‥用具返しに行くとき、ついてきてもらえませんか･‥？」
兄「ああ･‥、わかった。」

そう言ってYさんはしどろもどろしながら掃除を始めたそうです。
Yさんが掃除を終えて、とうとう用具を返しに行くことになりました。
Y「お願いします･‥」
兄「わかった。」

そう言って兄が思いっきり用具室の扉を開けました。
兄「･‥何もおらんで？」
Y「え、･‥いないっすね･‥」

兄「これちゃうん？笑これと見間違えたんちゃうん笑」
Y「いや、絶対違います。さっきマジでいたんすよ･‥」

兄「ホンマに？笑見間違えってことにしとこうや。」

Y「そうっすね、、、」
一段落すると二人ともタイムカードを切って帰宅しました。

家に帰った兄は一階にある風呂場でシャワーを浴びました。この日の前日、兄は母から、
「明日、父さん朝早いから静かに風呂入ってな。あんた背中洗うとき壁に肘ぶつけるんうるさいからな。音立てへんようにしてや。」
と言い聞かされていたので、体を縮めてシャワーを浴びていました。

その頃、父、母、弟、私は二階の寝室で寝ていたのですが、父以外の三人が飛び起きました。
それも無理はありません。一階からとてつもない物音がしたからです。

バアアアアアアアアアアアアアン！！！！！

聞いたことのない音でした。幸い父は起きなかったのですが、今思うとなぜ起きなかったのか不思議でたまりません。
それはそうと、あれだけ警告したのにもかかわらず大きい物音を立てた兄を母は激怒しました。