愛犬のマルと山奥の廃墟
投稿者:並の大盛り (3)
長編
2023/03/08
15:31
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それで、あの廃墟の事なんだけど、父が戻った時に両親が揃ったのでそれとなく聞いてみた。
「散歩してたら見つけたんだけど…」
地元の人でもそんなに利用しない山道だが、この辺出身の人なら誰しも一度は通った事があるかもしれないような何の変哲もない山奥の山道。
両親は「そんな場所あったっけ?」と首を傾げていたが、「そういや俺が子供の頃なんかあったような気がする」と父が言ってた。
「なんかあったような」というのは、人災で死亡事故が起きたという不確かなもので、小さい時の記憶らしく何の施設だったのか、どういった事故が起きたのかは覚えていないそうだ。
「それがどうかしたのか?」
俺はあの妙な体験を話そうか悩んだが、結局ただ廃墟を見つけて遊んでたら泥水に落ちたという事実だけを話した。
もしかしたら本当に点検に来ていた作業員と遭遇してしまったのかもしれないし、そもそも住居侵入で怒られるのも嫌だったから、俺とマルだけの秘密にすることにした。
まあ、二度とあそこに近づかなければ問題ないだろう。
ただ、風呂に入った時に気になったのが俺の足首。
あの落とし穴に落ちた時、水の底から何者かに足首を掴まれた感覚があったが、俺の足首にはしっかりと手痕がついてた。
あの時、マルが助けてくれなければ俺はどうなってたのだろうと考えると、ゾッとする。
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愛犬のマルに感謝ですね。