事故物件に引っ越した友人

そこで、オカルト系は極端に苦手だという事にしていました。
だからSは、事故物件だということを私に黙っていたのです。

別れ際、あの部屋はやめたほうがいいと忠告したところ、
「俺はそんなの気にしないからな」と笑っていました。

しかし数ヶ月後、Sはその部屋を出ました。
ダイニングの床に人型のシミがあらわれ、上からカーペットを敷いても、浮き上がってくるというのです。

物音がしたり、人の気配がしたり、金縛りにあったり、家具の位置が変わっていたり……と散々だったようです。
「でも、首を吊った場所じゃないところにシミができるなんてことあるんだな」
と、Sは流石に憔悴した顔でそう言いました。

死んだ場所から、一歩も動けないということはないのです。
だからこそ、部屋のあちこちで物音や気配がするのですから。