ルームミラーに映った赤い車
投稿者:Kaze_ko (1)
その年の夏は雨が多く、カラッと晴れてくれる日がほとんどありませんでした。
そのため、部屋干しばかりで完璧に乾かない洗濯物が部屋を覆い尽くしていました。
このままでは明日の洗濯物を干す場所がない。
夜遅くではありましたが母と二人でコインランドリーへ行くことにしました。
私が運転席、母は助手席へ。
車を走り出してすぐに、今日はお盆の最終日だということを思い出します。
「今日、お盆の最終日だね。」
「もうご先祖さまは帰っちゃったかなぁ」
そんなたわいもない会話をしていると、車はループ橋のカーブにさしかかります。
「カーブなんだからもっとスピード落として。こわいよ。」
「私もそうしたいけど、後ろの車が煽ってくるんだもん。」
カーブ入り口から、車間距離を全くとらずベタ付けしてくる不快な後続車がいました。
「後ろの車?」
「赤い車だよー。ルームミラーにも映ってるでしょ?」
「そんな車いないよ。」
「えっ?」
ルームミラーには確かに赤いセダンの乗用車が映っています。しかし母には見えていないようです。
いる、いないの押し問答をしているうちにカーブが終わり、再度ルームミラーに目をやるとさっきまで見えていた赤い車はありませんでした。
カーブの途中に曲がれる道なんてありません。
「あれ?さっきまで走ってたのに…。」
「やめてよー!それにさ、夜遅くてこんなに暗いのにどうして後続車の色までわかるの?普通、見えるのはライトだけだよ?」
言われてみれば確かにそうです。
夜ライトをつけて走っていれば、後続車のライトは見えても車体の色までは確認できません。
じゃぁ、私が見た赤い車はなんだったのでしょうか。確かに見えたのに…。
お盆の最終日。ルームミラーを通して何か霊的な存在を映し出してしまったのでしょうか。
今でもそのカーブを通る時は、背筋に冷たいものを感じ何度もルームミラーを確認してしまいます。
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