朝刊配達
投稿者:take (96)
短編
2023/02/23
11:35
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母方の叔父から聞いた話です。
叔父は高校時代に、朝刊配達のアルバイトをしていました。
配達担当地区に、毎朝家の前で、
掃除や体操をしながら待っているお爺さんがいて、
「おはようございます」
「おはよう、ご苦労さん」
と、挨拶を交わし、直接手渡していました。
そのお爺さんが、突然亡くなってしまったのだそうです。
脳梗塞だか心不全だかで、急なことでした。
しかし、亡くなった日もその後も、変わらず叔父は、
お爺さんに、直接手渡し続けていました。
叔父は『霊感体質』で、子供の頃からそういうことが当たり前になっていたのです。
そして数ヶ月後、その家の旦那さん、つまり、お爺さんの息子さんから、
新聞の契約を今月いっぱいでやめたいと申し出がありました。
新聞を読むのは、その家でお爺さんだけだったからです。
最終日、いつものようにお爺さんに手渡した時、
「今日で最後ですね、いままでご購読ありがとうございました」
と、叔父が言うと、
「そうかあ……最後か……毎朝ご苦労さんだったね」
お爺さんは、寂しそうに笑ってそう言った後、玄関のドアを開けずに、すっと中に消えていきました。
ポストには、さっき手渡したはずの新聞が、入っていたそうです。
叔父は、手を合わせてそっと頭を下げました。
その後、その家の前を通りかかっても、お爺さんの姿を見ることはありませんでした。
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新聞、毎日楽しみにしていたのでしょうね。切ないお話でした(´;ω;`)