夜の墓参り
投稿者:ローマン (1)
自分の主人はお寺の住職です。お寺に住んでいると、いろんな方が毎日お見えになります。
法事、葬儀の相談のお客様・業者の方・お墓参りのお客様、お檀家さんのご挨拶、実に様々です。
私もお寺の寺庭(お寺に嫁いでいる奥さん)として、毎日応対させていただいております。
そんなある日、お檀家さんの身内の方がご相談に来られました。
「実は入院している主人が、もうダメみたいで…」
どうやら危篤状態だそうです。
その方はいつも畑でとれたお野菜や自営で作っているお米、自家製のお饅頭等をよく持ってきてくれるしわのかわいいおじいちゃんでした。
お茶をお出ししているとき、
(あーあのおじいちゃんとうとう…でもお年だし大往生かな)
と思いながらお茶を出し、軽く挨拶をして応接室を出ました。
見知った方の〝死〟も、日常のことなので深く考えず、その日も普通に家事や子供の習い事の送迎をしていました。
夜、いつものように子供の塾のお迎えの電話がかかってきたので、22時くらいに家を出ました。
お寺は霊園が併設しているということもあり、家の車庫は当然お墓の傍です。
夜空と霊園を眺めながら車庫へ向かう私。その時霊園の奥の方から手桶を持ってくる人影が目に入りました。
(え? 今22時台だけど? いまお墓参り? なんで? 昼とか忙しい人で遠方から来られたの? 怖いけど檀家さんに怖いとか思っちゃ悪いしなぁ…)
と思っていましたが、やはりお墓参りの方を無下にするのもなぁと思ったので
「こんばんわ~、ご苦労様です」
と、一応挨拶。向こうはペコ、とお辞儀をしたように見えました。ちょうど街灯の近くだったので顔が見えたのですが
(⁉)
声は出ませんでしたが心臓が思いっきりバクっとなりました。
そのお墓参りの方は、危篤状態のおじいちゃんだったからです。
(え? は? 体の調子よくなったの? なんで墓参り?)
疑問に思うこと様々ありましたが、子供のお迎えもありましたので速攻車に乗ってお迎えに行きました。
行きがけに参拝される方の駐車場を見ると、車は一台も止まっていませんでした。
そのおじいちゃんの家は遠いから、いつも軽トラを軽く流しているイメージだったので
(歩きできたの⁉)
とさらに疑問が…
子供のお迎えが終わり、その日は頭が混乱したまま就寝しました。
次の日の朝、7時頃電話がかかってきておじいちゃんが亡くなったことを知りました。
ですが主人が話した内容を聞き、昨日よりもさらに心臓がバクりました。
住職なのに怖い怖いと思うのですね。
お寺にまつわる怖い体験話がありましたら投稿お待ちします。