待ってる人
投稿者:ぴ (414)
短編
2023/01/26
17:40
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私は連日で、同じ場所で佇んでいる人を見かけました。
私はバイトのシフトの関係で、よくその時間帯にその場所を通りかかっていました。
そこにいつも誰かを待つように時計を気にしている女性を見かけたのです。
当時付き合っていた人がすごく自分勝手な人で、私も何度もデートで振り回された覚えがありました。
そんな事情もあり、他人事とは思えなくって、なんとなくその人を見ていました。
ある日その人が待ち合わせ場所で、涙を流しているのを見ました。
それでついつい持っていたハンカチを渡して、「これで拭いてください」と言ってしまったのです。
私はその人にハンカチを渡そうとしました。だけど、相手は受け取ってくれません。
そこでなんとか涙を止めようとその人に近づいて気付いたのです。
その人は半分体が透けていて、向こう側が見えているのです。
まるで幽霊みたいでした。
現実ではありえないことに驚いていたら、その人が言いました。
「あなた、私が見えるの?」って。私はさっと鳥肌立ち、慌ててその場を逃げ出したのです。
それから同じ場所で、その人と会うことはなくなりました。
あの人の体は透けていました。きっとあれは死んだ人だったと思います。
私はたまに見えてしまう人間だからです。
とっさに逃げ出したけど、少しだけ声をかけてみても良かったかもしれないと思います。
あの人にどんな事情があったのか今もすごく気になります。
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ずっと誰かを待ってるのかな…