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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

おやつの時間
長編 2022/12/12 23:27 2,766view
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小さい頃は、おやつの時間が大好きでした。

私の母の趣味がお菓子作りで、プロではありませんが、プロ級の腕といっていいほど自己流ですごくおいしいお菓子を作ってくれる人でした。

それこそ、お店で食べるよりもずっとおいしくて、母が作るおやつを待っている時間が一番好きでした。

私には姉がいるのですが、いつもその姉と一緒にお菓子をまだかまだかと待ったし、オーブンからいい香りが漂ってくると、二人して笑顔になりました。

姉も私もできたてのおやつを奪い合うように食べていたのですが、ある日不思議なことがありました。

いつものように座っておやつを待っていたら、母が急にこらーっとしかりつけてきたのです。

私と姉はまったく怒られた意味が分からなくて、ボケーっとしてしまいました。

そしたら母に「つまみ食いしないでって言ったでしょ」と延々と怒られたのです。

私たちはずっと座っていて、つまみ食いなんてしていません。

それなのに理不尽に怒られて、その日はいつもよりおやつの量を減らされてショックでした。

二人で泣きべそをかきながら我慢したのですが、次のおやつの時間も、そしてその次にも同じことがあり、母に怒られることになりました。

母は私たちがおやつを勝手に食べたと思い込んでいたのです。

私たちはまったく身に覚えがなくて、「食べてない」と反論したけど、何といっても信じてくれませんでした。

その場に置いたはずのお菓子が消えてしまい、近くには私たち姉妹しかいませんでした。

家には私たちと母しかいなかったし、母も私たち以外に犯人はいないと考えても無理はありません。

だけど実際には私たちは食べていないのです。

なぜ怒られて、おやつを減らされるのかと悲しくて仕方なかったです。

そんなある日、私は偶然、母がおやつを作っているときに、キッチンの足元に人影を見つけました。

不思議に思いながらキッチンの下を覗いていたら「女の子」と目が合いました。

随分昔の話なので、容貌まではきちんと覚えていませんが、髪は二つに結っていました。

二人姉妹の私たちにはほかに兄弟はいません。

つまり見たこともない子が、家のキッチンにいたのです。

それだけでも怖いのですが、その子はよく見たら片足がなくて、床をずるずる這って、母が作ったお菓子に手をつけていました。

私はとっさに母のエプロンを引っ張り「ねえ、ママ食べられてるよ」と教えてあげたのです。

母は一瞬こっちを見て、「あ~、またなの!?」とお皿の上と私を交互に見て、頭を抱えました。

どうやら母はまた私がおやつをつまみ食いしてしまったと思ったらしいです。

不穏な反応の母に焦った私は「違うよ!見て、あの子が食べたの!」とさっき見たキッチンの下の女の子を指さしました。

けれどそこにはあの女の子はもういなくなっていて、まるで私が嘘をついたような雰囲気になりました。

ますます焦る私に案の定母は今度は私の単独犯だと思ったらしく、姉の皿はおやつ大盛りで、私のおやつはちょっとに減らされました。

もう腹が立つやら、悲しいやらで泣きじゃくるしかなかったです。

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