鳴るはずのない電話

数日後、また家でゆっくりしている時、突然電話が鳴りました。
嘘でしょう？！
ゴミ袋から！電話が鳴ってる？！
あまりにもシュールな光景でした。
どこかと繋がっているんだろうか…。
好奇心でゴミ袋を開け、電話に出てみました。
「もしもし」
電話からはザーザーとまたノイズが流れてきました。
かすかに男性の声が聞こえましたが、やはり何を言っているのかわかりません。
「どちらへおかけですか？」
間違い電話に決まってると思い、問いかけてみましたが、ノイズがひどくて何を言っているのかわかりません。
「すみません。聞き取れません。もしもし？」
何度か問いかけてみたのですが、言葉を交わすことはできませんでした。

男性が何かを言っているのですが、ザーザーというノイズで聞き取れません。
そして電話は切れました。

どういうことなのでしょうか。
電話線が繋がっていない電話が、どこからか通信している。
どうして電話が鳴るのかわかりません。
どこからかけてきているのかもわかりません。
男性が誰なのかもわかりません。
うちの電話は一体どこと繋がっているのでしょうか。
怖さ半分、好奇心半分で、電話を捨てずにゴミ袋に入れたまま、部屋に放置しておきました。
また電話はかかってくるでしょうか。

そのまま1ヶ月が過ぎ、2ヶ月が過ぎ…電話はずっとゴミ袋に入れられて部屋にありました。
電話は鳴ることがなく、何かの間違いか気のせいだったのだろうと、電話のことは忘れていきました。
そんなある日、突然電話が鳴りました。

ゴミ袋に入った、何の線も繋がっていない電話が、着信音を鳴らしていました。
「来た…。」
気のせいじゃなかった、本当にまたかかってきた！
今度こそ何か話をしたいところです。
ゴミ袋を開けて電話に出ました。
「もしもし」
すると電話の向こうからはやはり
「ザーザー」
というノイズが聞こえてきました。
そしてかすかに聞こえる男性の声。
「もしもし？聞こえますか？」
問いかけてみてもノイズが聞こえるばかりで、男性の声は全然聞き取れません。
そして電話は切れてしまいました。