神社の足音
投稿者:グリム (1)
怖い話というわけではないのですが、個人的にちょっと不思議だったので書きました。
学生の頃の話になります。一体どんな話題がきっかけだったのか覚えていませんが、当時よく遊んでいたグループで野宿をしてみようという話になりました。
地元にはちょっとした有名な神社があるのですが、そこから少し行ったところに石仏があります。その石仏に行く途中に開けている場所があって、そこは木が茂っていて多少の雨程度ならしのげるので、ちょっとレジャーシートとか広げて寝るくらいなら問題ない場所でした。
なので、全員で予定を合わせてそこで野宿をしようという話になりました。
当日、レジャーシートと毛布代わりの少し厚手の上着、懐中電灯などをそれぞれ準備して集まりました。
初めての野宿ということもあり、やたらとテンションが高くみんなで騒いでいたのですが、夜が深まると次第に静まっていきました。
ふいに友人の一人が言いました。何かいる気がする、と。当然周辺には誰もいません。付近には小さなアパートとかはありますが時刻は深夜。道路を行く車すらいません。
その友人は昔から他人より勘がいい子で、一度気にし始めてしまうとちょっとした音にさえも敏感になってしまいます。それで、結局そこでの野宿はやめ、いつも遊んでいる別の神社の宝物殿に移動することにしました。宝物殿の前は低い階段になっていて、軒下にもなるのでそこに全員で寝ました。
朝、目が覚めた時、他の友人たちはすでに起きていたらしく、どこかに散歩に行ったみたいで誰もいませんでした。自分はまだ眠かったし、荷物をそのままにしておくのも心配だったのでもう少し寝ていようと目を閉じました。すると、少しもしないうちに砂利を踏む音が聞こえたのです。
宝物殿の前は砂利になっていて、神社へ上がっていく階段と、脇道に出る小階段があるのですが、どちらの階段からもそこを通るような足音はしませんでした。ただ砂利を踏む音だけが右へ左へと動くのです。
時間的には多分5分も経ってないと思います。誰だろうと思いながらも、少し怖かったので目を閉じたままでいると、足音は聞こえなくなりました。それとほぼ同じくらいに友人たちが戻ってくる声がしたので、起きて、今誰かと会わなかったかと聞いてみたら、誰もいなかったしすれ違いもしなかったとのことでした。
荷物には何も問題はなかったし、何かされたわけではないのですが、階段を上り下りするような音もしなかったので、もしかしたら昨日の場所から何かがついてきたのかもね、なんて話をしていました。特にオチはないですが思い出すと今でも不思議な出来事です。
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