朝登った階段を降りる。
夜の建物には独特な雰囲気があるものだが、電気も付いているし、別段怖さは感じなかった。
屋内だからだろう、靴音がやけに響く。
コツコツと反響を繰り返す音が、逆にその音以外の静けさを強調させる。
そういえば、やけに静かだ。朝からひとけを感じることもなかった。
思考が巡っている。怖さは感じない?大人だからと強がっているだけだったかもしれない。
子供の頃、暗い場所でひとりで過ごした時の気持ちを考えて、その怖さを思い出しているのかもしれない。
これだけ色々な事を考えるのは、自分をごまかしたいが為なのかもしれない。
探偵は自分をそこまで分析する余裕があった。時間の余裕がだ。
自分はどれだけ階段を降りただろう。
延々と同じ景色が繰り返されている。
壁に書いてあったはずの階層表示はいつのまにか消えていた。
なにかおかしい気がする。
廊下へと続く扉に手をかけるが、開かなかった。
不思議ではあるが…まぁ、それならもっと降りていけばいいだけだろう。
何故か探偵は楽観的な気持ちで居た。
そういえば、持ち込んだパンを昼に食べてからは何も口にしていない。
この後は何を食べようか。こんな時間だ、今日もコンビニ弁当か…
探偵は階段を降り続ける。
これだけ歩き続けていると、階段の隣のエスカレーターが羨ましくなってくる。
気づけば、ゴトゴトと聞こえる機械音は、エスカレーターのものだけではなくなっている。
電車の動く音だ。
改札も見える。どうやらようやく地下鉄駅にたどり着いたようだ。
その場で辺りを見渡していると、ちょうどエスカレーターから降りた女性が落とし物をした。
気づかないまま行ってしまいそうな彼女を見て、その落とし物を拾い上げ後を追う事にする。
改札を入らないでくれてよかった。
通路を行く彼女に追いつき、落としましたよと声をかけるが、反応がない。
それどころか段々と歩くのが速くなっていく。
仕方なく追いかけ、繰り返し声をかけるがそれでも反応はない。
困ったな…探偵はどうすべきか考えた。
とりあえず、彼女を追い越して前に立てば止まってくれるだろう。
探偵は走り出す。
すぐ止まってくれたらよかったのに、面倒だな。
拾わなきゃよかったかな、なんて事を考える。
そもそもここは何処だ?どこまで歩いてきた?
結構な速さで歩いていたからな。
何処?そもそも、なんで駅に来た。
自分が歩いていたのは、マンションの


























んー?ご両親は亡くなったのですよね?ちょっと私も異次元に迷い込んだのかよくわかりません。。