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必殺一生懸命さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

12年後の自分の姿
短編 2022/11/17 16:00 1,184view

私の故郷には、とある儀式に関する言い伝えのようなものがあります。それが、このようなものです。真似はして欲しくないため、本物から一部変更していますが、おおよその話は変わりません。

まず、なんでも良いので空き瓶を用意します。ビール瓶のような簡単に手に入るものでOKです。それから次に、特定の回数と方向へ(回数や方向は伝わっているのですが、伏せさせてください)、テンポよく顔を向けていきます。あっち向いてホイで顔を動かす側のような動きを想像してもらえれば分かりやすいでしょうか。その後、「普間屋忍羅(ふまやにんら)」と声に出し、瓶の底を覗き込むのです。口の方から底を覗き込むのではありません、瓶の底を直に目に向けるような形です。そうすれば、その底面に「きっかり12年後の自分の姿」が映るそうです。これが、私の故郷にある言い伝えでした。

まだ故郷にいた頃、私はふとした思いつきでそれを試してみることにしました。正直、私は暇つぶしのつもりで、何も起こるはずはないと確信しきっていました。
手順を覚え、瓶を用意し、いざ1人で挑みます。ドキドキしながらもきっちりと手順を踏んでいき、そして私はあの言葉を声に出そうと口を開きました。しかし、そこで私は少し怖気づいてしまったのです。もしも恐ろしい未来が見えてしまったらどうしよう、と。この儀式をすることによって、呪われでもしたらどうしよう、と。

そこで、言葉を唱える声が少し弱まってしまったのです。でも止めるわけにはいきません、私は続行します。
そして……私は全ての手順をこなし、瓶の底を覗き込みました。

すると、瓶の底の曖昧な視界の中、人影が揺れた気がしたのです。顔はよく見えませんでしたが、体型は私と似ているような気がしました。私は骨格的に少し右肩が上がっているのですが、それもそっくりなように見えました。
ですが、あっと思った時にはもうその姿は消えていました。

中途半端なようで申し訳ないですが、これが私が体験したことの全てです。
一応、私なりに色々と考えてみたので、それも書いておきます。

私は、一瞬怖気づいて声が弱まってしまったから、儀式が不完全な形になり、人影が見えるという曖昧な結果になってしまったのかなと思っています。
もしもしっかりと声に出すことが出来ていれば……本当に未来の私の姿が見えたのかもしれません。さすがに恐ろしくて、もう一度やってみる気にはなれませんが……。
儀式というものは、やはりきっちりと手順を踏まないといけないものなのでしょうね。当たり前といえば当たり前な事実ですが、それを実感した出来事でした。

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関連タグ: #声#酒
コメント(2)
  • どこの地域の言い伝えでしょうか?

    2022/11/17/22:05
  • 何の役にもたっていない儀式ですね。

    2022/11/18/15:59

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