開かずのエレベーター

私が小学生の頃の話です。

校舎には給食を運ぶための小さなエレベーターがありました。

しかしそれは何年も使われておらず開かずのエレベーターでした。先生が言うにはモーターが壊れてしまい直すのもお金がかかるのでそのままにしているのだそうです。

しかし生徒の間ではあのエレベーターにはふざけて中に入ってしまった生徒が出られなくなりそのままになっていると言う噂がありました。時々エレベーターの戸が内側から叩かれている音がするらしいのです。

私は幽霊などは信じていなかったので気にしてはいませんでした。

しかし、ある日委員会で遅くなった時に何処からかトン、トン、トンと音が聞こえてしました。

最初は何の音か分からず誰かがいたずらで音でも鳴らしているのかと思いましたが、生徒は私以外残っていません。

怖くなって慌てて昇降口に向かうと途中であのエレベーターの前を通った時はっきり音の正体が分かりました。

確かにエレベーターの内側から叩きつけている音です。私に気付いたのか音は大きくなりまるでここから出せと言っているようでした。

このエレベーターに人が閉じ込められていると確信しました。それ以上そこに居るのは恐ろしく一目散に校舎を出ました。

あのエレベーターがある校舎はまだあるのできっと今もあの中に閉じ込められたままなのでしょう。