日中の作業員
投稿者:七福神 (2)
この出来事は、私の夫が経験した本当にあった不思議な話です。
夏のとある日。そこは東京郊外オートロック付き賃貸マンションの4階・・・その日は若い内装作業員3名が現状回復工事のための作業を行っていました。次の現場も控えていたため、みんな急いで作業をしていました。とても暑く、玄関も窓も開けたままで。
作業開始から数時間たったころです。
「ピンポーン」
インターホンが鳴り響きました。このような作業中には、内覧のお客様を連れた不動産業者の営業やマンションのオーナーが来ることがしばしばあるため、この時も、モニターインターホンの近くで工事をしていた作業員は、いつも通り、無意識に、モニターを確認することなく作業をしながらオートロックの解除ボタンを押しました。
解除ボタンを押した作業員は他の作業員に、「オーナーかお客さんか、誰かしら下から上がって来るよ」とだけ伝え、聞いた作業員も何の違和感も感じず、みんながそのまま作業を続けていました。
しばらくすると、向かいのエレベータが開きました。
「チーン」
開いたエレベーターには誰もいません。
「誰も乗っていないよ」
玄関で工事をしていた作業員がエレベータを見てそう言い終えるのと同時に
「ピンポーン」
インターホンが再び鳴りました。
不思議に思った作業員はロビーが映し出されているモニターを確認してみましたが、ロビーが見えるだけでそこにも誰もいませんでした。
「誰もいない」
その場にいた全員が、異変を感じ始めました。
そして再び
「ピンポーン」
今度は作業中の部屋のインターホンが鳴ったのです。
「故障でしょ・・・」
何が起きているのか追及せず、インターホンの故障なのに無人のエレベーターが4階に止まった事実を忘れようと、ただひたすらに作業を進めそして終えた作業員たちはそそくさと次の現場に向かいました。
後で確認してみましたが、あの日はよくあるお客様の内覧も、そしてオーナの訪問も一切なかったそうです。
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