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たぬきちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

X棟の101教室
短編 2021/02/20 17:36 1,464view

これは、私が通っていた大学の話です。
私は関東の某大学に通っていました。語学に強いことを謳っており、英語を極めたいと思い入学しました。大学は高校とは違って自由度が高く、サークルにも入り友人たちと楽しく学生生活を送っておりました。

大学にも慣れてきた2年生の夏ごろ、「X棟の101教室(仮称)」の話を耳にするようになりました。X棟とは、学生が講義を受ける教室棟の1つで、
学内では古い部類に入ります。私もX棟で講義を受けることはありましたが、少し日当たりが悪いと感じるくらいで、特に違和感などはありませんでした。

建物は5階建てで部屋の広さにかかわらず全ての教室に窓がついておりますが、聞くところによるとなぜか1部屋だけ窓がない教室があり、それが101教室だというのです。

半信半疑であったため、確認するために外から教室の場所を見てみると、たしかに窓がなく壁だけで覆われている箇所がありました。少しゾッとしながらも友人とX棟に入りその教室を目指すと、まさにそこは噂になっている101教室だったのです。

扉には中が見える小窓がついているのが普通ですが、小窓はありません。
本当に開けて大丈夫なのか不安になりながらも、友人は怖いもの見たさですでにドアノブを握っています。「じゃあいくよ!」ガチャ!ガチャ!
友人が何度ドアノブを回しても、開く様子がありません。鍵がかかっていたのです。

拍子抜けと同時にどこか安心した気持ちがありました。
ただどうして鍵まで閉める必要があるのかと疑問も浮かびました。
その時背筋にゾワッと何かを感じ、友人と逃げるようにその場を後にしました。

その後聞いた話ですが、101教室は30年ほど前に化学部の部室として使われていたそうです。当時化学部は、学内でも評判の美人であるKさん(仮)がいたため、その子目当てで入部する人も多くいたとのことでした。

ある日いつも通り実験を行っているなかで、突然ビーカーが爆発し、彼女に薬品が飛び散ります。原因は、薬品の配合ミス。不運なことに中には酸が入っており、彼女の顔はドロドロにただれ、その様はまるで化け物のようだったそうです。その顔を見て、彼女をちやほやしていた男子学生たちは離れていき、彼女自身も生きる希望を失い自ら命を絶ちました。

窓を壁にしたりドアの小窓を無くしたりしたのは、彼女が自分のただれた顔を見ないようにするための大学側の配慮だそうですが、真実は定かではありません。
また、やけに101教室前だけ薄暗いのは彼女の怨念がそこに残っているから、という噂もあります。
X棟自体も3年ほど前に壊され新しい教室棟が建ち、無くなってしまいました。

「X棟の101教室」の話は本当なのか、Kさんの怨念は残っているのか・・答えはわからずじまいでモヤモヤした気持ちだけが残っています。もしかしたら同じような場所は全国にたくさんあるのかもしれませんね・・

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