本当にあるのかも？生霊を祓ってもらったお話

それは私がまだ20代前半の頃の事です。

当時お付き合いしていた彼氏が浮気し、私は浮気相手と対面してしゃもじを投げつけ人生についてお説教するという、人間って怖いなぁという体験もしましたが(笑)

私は、その時の彼と別れたくないものの話し合いは膠着し、どうしても浮気相手と切ろうとしない彼から泣く泣く離れ、同棲していた他県のアパートから地元の実家へ帰ってきました。

その時に私が地元へ帰ってきたことを知った親戚のおじさんが家に招待してくれて、愚痴も交えながら話を聞いてもらったんですが…その叔父さんの奥さんが怖い顔をして私を睨むのです。

嫌われたのかな、不快な話だったのかなと考えていたら奥さんに突然「明日時間ある？」と言われました。仕事も辞めて地元でまた就職し直そうとしていたときだったので翌日は暇。奥さんへそう伝えると「朝7時に迎えに行くから、私服に着替えて待っていて」と、それだけ言われました。

よくわからないまま翌朝実家で早起きして待っていると、右目だけ妙に瞬きしながら奥さんが車で迎えに来ました。乗り込んで「どこに行くんですか？」と聞いても、「少し遠いところ、まだ言えない。でも安心して」とだけしか答えてくれません。

そのまま2時間半くらい走り続けました。その道中、不思議なことに奥さんは「邪魔されてる」等と口走り、道は左折したり右折したり毎回通るところが違うのに、同じ道に戻ったりを繰り返すことも何度かありました。

そしてやっとたどり着いたのはとあるお寺。由緒正しそうな古い荘厳なつくりでした。

突然奥さんから数珠を渡され、ついてきてと言われて案内されたのはお坊さんのいる個室。対面するやいなやお坊さんに、「女の子ついてきてるね」と言われたんです。

私のこと？とぼんやり考えていると、「生霊てわかるかな。強い念を持たれたらその人の念が飛んできちゃって悪さするんだよ」とお坊さんが言います。

絶対あいつだ…！あの浮気相手しかいない…！

と心当たりはあるものの、生霊と言われても信じられない私。幽霊だって見たことはないし、テレビもどうせ嘘だろうと思って観てましたし。

案内されるまま、大広間というのか仏像がある広い本堂のようなところへ。

隣には奥さんが座り、数珠を絶対離さず合掌し続けてね、と私に耳打ちします。突然お坊さんのお経が始まりました。私は言われるがまま正座で合掌し続けます。

体感で10分くらい経っても終わらないお経。一体あとどのくらいこうしてればいいのかな、とぼんやり考えていると突然手が震えだしました。別にお坊さんは私に触れたりもせず、ただひたすらお経を唱えているだけです。

そしてそれから2分くらいたったあたりから急に、私は猛烈に悲しくなってきて泣きじゃくってしまいました。「ごめんなさい、ごめんなさい。嫌だ。嫌だ。嫌だ。」と勝手に自分が口走るんです。「何に対して謝ってるのか？」と思えるくらい脳ははっきりしているのに、メンタルが突然情緒不安定になり手はぶるぶる震えっぱなし。その状態で更に10分ほど過ぎていきました。

突然、それはもう本当にいきなり悲しさが消え、手の震えもピタッと止まり、なぜか「あ、終わるな」とわかりました。それと同じくらいのタイミングでお坊さんのお経も終わりました。

隣でずっと背中をさすっていた奥さんは、別室に移って私のかわりにお坊さんにお礼を支払った後「いたのよ、あなたの肩に物凄い顔した女が。私、あまり言いたくないけど見えるのよ。でもお寺に連れてくって言ったらその女にばれてどうなるかわからないから、詳しく話せなくて。ごめんね」と打ち明けられました。

道中邪魔されたとか道に迷ったのもそれなのかな…と半信半疑ながらも、初めて味わった不思議な体験でした。

テレビで見るような背中をバシンと叩かれるようなお祓いではありませんでしたが、その翌日元彼から「ごめん、お前だけだから」と急に態度を変えて連絡が来たときは、少しゾッとしました。

復縁はお断りしましたけど。