誕生日会の知らない子

私は思い返してみて、じわじわと分かり始めていました。

きっとあの日あの女の子を目にしたのは私だけなのです。

そしてあの日、目の前にやってきた四つん這いの女の子に、「見えてる？」と聞かれました。

きっとあれは私に自分が見えているのか確認したかったのでしょう。

私は理解ができなかったおかげで、その質問に返事をせずに済みました。

そして誕生日ケーキのおかげで、あの子の関心が削がれたのです。

もしあのとき、私があの子を見えていることに気づかれていたら、私はどうなっていたんだろうと恐怖を感じることがあります。

そしてあの子が誰だったのか未だに分からないことも怖いのです。