いざりの家の話
投稿者:FUE (1)
短編
2022/09/23
21:03
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子供の頃農村に住んでいましたが、なめら筋と言われる通りに、人の住んでいない家がありました。その家は村の中心近くの便利な場所にあり、何度か人が越して来るのですが、なぜかすぐに空き家になってしまうのです。年配の大人はいざりの家と呼ぶ人もいました。農村ですので、ほとんどの家は先祖代々土着の家族が住んでいるのが普通でしたので、その家は何か特殊な存在として子供にも認識されていました。
その家についてある日母から聞いた話です。
昔その家は大層分限者(金持)な家族が住んでいました。
しかしその家の息子は残忍な性格でした。恐ろしいことに猫を殺す趣味があったのです。猫を殺して足を切り、野ざらしにしておくのです。野良猫に始まり、飼い猫でさえも、犠牲になる事があったそうです。
やがてその息子は嫁を取り、女の子が産まれましたが、娘は病弱で足が悪く、いざって(足を引きずって這うように移動すること)しかできませんでした。
次にも女の子が産まれましたが、その子もまた「いざり」でした。
結局3人の女の子を授かって、3人とも「いざり」で生きていく力がなく、その家は絶えることになりました。
村のひとたちは猫の祟りだと噂し、やがて「いざりの家」という呼び名で呼ぶようになったということです。
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間違いなく猫の祟りですよ。