窓に映るモノ
投稿者:Aki (1)
以前病院で働いていたときのことです。
勤めていた病棟は数年前に新築した棟で、明るくきれいで、夜でもいわゆる病院の不気味な感じもなく、あまり怖い思いをしたことはなかったのですが、
そこはやはり人も多く亡くなるところでもあるためか、「○号室は夜中に子供の足音がする」などの話はよくきかれたものです。
これはそんな病棟で一緒に勤めていた先輩から聞いた話です。
その病棟は長方形の形をしたフロアで、長い廊下があり、一番端は一面ガラス張りでした。
高層階のフロアで、目の前はビルなどもなかったので、暗い中、ビルの明かりが見える程度でしたが、消灯前は明るいため、ガラスには病棟内の廊下と自分自身がはっきりと見えるほどでした。
ある日、夜勤だった先輩は、いつも通り消灯前に各病室をラウンドしていました。
その長い廊下をガラス張りの端に向かって歩いていると、いつもと変わらずガラスには夜景と自分自身が映っていました。
ただ一つ、いつもと違う感じがあり、ガラスを見ると、映っている自分に一回り以上大きな人影が覆い被さっていたのです。
もちろん現実には自分しか廊下にはいません。
一瞬怖いと思ったのですが、そこは看護師だからか・・・
よくよく覆い被さっている人影のようなものを見て「こないだ亡くなった○○さんかも」と思い、怖さはなくなったと言います。
そんな話をきいた私は、仮に亡くなった患者さんかもと思ったところで怖いことには変わりないので、夜勤の最初の仕事として廊下の端のカーテンを閉めることとしたのでした。
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