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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

引っ張る子供
短編 2022/09/06 15:05 869view

その日、仕事の打ち上げの帰り道で、とある信号のある横断歩道を渡っていました。

そしたら途中で横断歩道にしゃがみこむ子供を見つけたのです。

見たときびっくりしました。

周りに大人は誰もいないようだし、誰も助けようとしないし、見て見ぬふりしたら危ないと思って咄嗟に声をかけたのです。

男の子は私が声をかけると顔を上げてこっちを見上げました。

「危ないからすぐに渡ろう」と私が言うと、子供は首を振ります。

私が手を引いて歩こうとしても、その子は一歩も踏み出さずにその場に留まろうとしました。

信号がちかちかし始めて、まずいと思いました。

私が子供を抱きかかえて渡ろうとしたら、あまりに子供が重くて持ち上がりません。

どうしようと焦った私にくすくすという笑い声が聞こえます。

見下ろすと子供はなぜか笑っていて、信号が赤になりました。

慌てて私は横断歩道を渡ろうとしました。

だけど渡れません。

なぜならさきほどまで私が助けようとした子供が今度は私の服の裾を引っ張って、引き止めていたからです。

男の子はなぜか笑っていました。

無邪気な笑い声でしたが、それが怖かったです。

ブブーっという音がして、私はその音で我に返りました。

はっとしたら窓からおじさんが「あぶねーわ」と怒鳴り散らす声がして、私はその声にびびって慌てて横断歩道を渡り切りました。

道路を渡った後は、周りの人は私のことを白い目で冷たく見ていました。

私は子供を助けようとしただけなのにと少し悔しい気持ちになりました。

そこで子供がいないことに気づいて、慌てて横断歩道を振り返ったのです。

探したけど、私が見たはずの男の子はもうどこにもいなかったです。

いまだにあれがなんだったのかと考えると怖いです。

運が悪ければ私は車に跳ねられていました。

あの日見た男の子はあわよくば私を交通事故に巻き込みたかったように思えて、仕方ないのです。

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関連タグ: #カラス#声#子供
コメント(1)
  • ご無事で何よりです

    2022/09/06/22:44

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