ボロボロの化け物
投稿者:TORNADO (1)
私はAくんにぴったりとくっついて吊り橋を渡りました。
吊り橋を渡った先は、道幅が狭くなっていました。
人一人がやっと歩けるような獣道でした。
Aくんは「冒険してるみたいで楽しい!」と言ってましたが、私は徐々に狭くなっていく道幅や、先程から感じているなにものかの視線に違和感を覚えていました。
それから10分程でしょうか。
獣道をひたすら歩いたら、とたんに視界が開け、あたり一面が広い芝生の場所に出ました。
周りは森林に囲まれたままです。
ふと、芝生の真ん中にポツンと建物があるのが見えました。
それはとても古い木造の建物でした。
大きさでいうと、ワンルームです。
おそるおそる近づいてみると、その建物には扉はあるのですが、窓がないのです。
四方どこから見ても窓がついておらず、縦50センチ×横50センチの扉っぽい物がついているだけでした。
中を覗いてみようかと思いましたが、なぜか腐臭がしたので躊躇しました。
それでもAくんは「ちょっと僕だけ見てくるから」と言って、中を覗きました。
その瞬間Aくんは叫びました。
Aくんはすぐ扉を閉めて、私のそばに走ってきて声を震わせてこう言いました。
「色んな死骸があった。
虫とか、動物とか…。
あと、頭蓋骨みたいなのも。
」と。
私はもう我慢できずに「やっぱ帰ろうよ!実はさっきから誰かに見られてる気がするんだ!」と声を荒げました。
Aくんも流石に怖くなったのか「わかった、引き返そう」と答えました。
その瞬間、芝生を囲んでいる森林の一部が「ガサガサッ!」と揺れたのです。
私は恐怖が絶好調に達していたので、全速力で元来た道を走り抜けました。
ふと振り返ると、Aくんも付いてきていました。
顔が青ざめていました。
その後、吊り橋も渡り、階段もあがり、なんとか最初の駐車場に戻ることが出来ました。
Aくんはしばらくパニックになっていましたが、呼吸を整えてこう言いました。
「見ちゃったよ!なんなんだよ、あれ!」
私は「何を見たの?」と聞きました。
Aくんは「あれは、化け物だよ…!」
と答えました。
どうやらガサガサと音がして逃げた時、Aくんはその正体を見てしまったようなのです。
髪はボサボサで顔は血だらけだったそう。
服はボロボロで、腰に鉈のような物をつけて、四つん這いでこっちに向かって走ってきたそうです。
何がしたいのだろうかその化け物ぞっとする…